はじめに:コンタクト消毒液(MPS)は進化しているのか

コンタクトレンズを使っていると、毎日のように使うのがコンタクト消毒液(MPS)です。

店頭やAmazonにはさまざまな製品がありますが、商品ページやレビューだけでは、消毒成分が何なのか、消毒性能にどのような違いがあるのかまでは比較しにくいものです。

そこで私は、2009年に国民生活センターが行った比較試験と、当時公開されていた眼科医院の比較資料を調べました。

さらに、2026年現在販売されているMPSの成分も確認。

すると、意外なことが分かりました。

MPSの「消毒」という基本部分は、思っていたほど大きく変わっていません。

一方で、保湿や洗浄など、処方全体にはさまざまな工夫が加えられています。

この記事では、昔の比較データと現在の製品を見比べながら、コンタクト消毒液の違いを整理します。

コンタクト消毒液(MPS)とは

マルチパーパスソリューション(Multi Purpose Solution)、通称「MPS」は、ソフトコンタクトレンズのケアに使う製品です。

一般的なMPSでは、以下のケアを1本で行います。

  • 洗浄:レンズについた汚れを落とす
  • すすぎ:洗浄後のレンズをすすぐ
  • 消毒:微生物を減少させる
  • 保存:所定の方法でレンズを保存する

ただし、必要な手順や消毒時間は製品によって異なります。実際に使用するときは、必ず製品の使用説明書に従ってください。

MPSは毎日使うものなので、価格だけでなく、容量や使用方法、現在使っているコンタクトレンズに対応しているかも確認して選ぶのがおすすめです。
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2009年、国民生活センターがMPSを比較していた

コンタクト液の違いを考えるうえで、非常に興味深い資料があります。

参照:国民生活センター
「ソフトコンタクトレンズ用消毒剤のアカントアメーバに対する消毒性能」(2009年12月16日)

国民生活センターは2009年、市販のソフトコンタクトレンズ用消毒剤について、アカントアメーバに対する消毒性能を比較しました。

結果を見ると、製品によって消毒性能に違いがありました。

また、MPSだけではアカントアメーバに対して十分な消毒効果が得られないケースも確認され、こすり洗いを含む適切なレンズケアが重要であることも示されています。

国民生活センターによるソフトコンタクトレンズ用消毒剤の比較資料

この資料を見て、私は一つ気になりました。

「2009年から、コンタクト液そのものはどれくらい変わったのだろう?」

眼への負担についても比較されていた

消毒性能だけではなく、毎日使うものだからこそ気になるのが眼への負担です。

当時、糸井眼科医院が公開していた資料にも、コンタクト液についての比較データが掲載されていました。

参照:糸井眼科医院が当時公開していた比較資料
現在は当時の掲載ページを確認できないため、公開当時に保存していた画像を掲載しています。

糸井眼科医院が当時公開していたコンタクト液比較データ

当時の資料では、製品ごとに眼への負担を数値化して比較していました。

コンタクト液 消毒性能 眼への負担スコア 当時の比較結果
エピカコールド ★★★★★ 1.7 消毒性能と負担のバランスが良い
リニューマルチプラス ★★★★★ 3.4 消毒性能は高い
ロート C-cube ★★☆☆☆ 3.7 当時の比較では評価が低め
AOセプト ★★★★★ 1.0以下 過酸化水素タイプ

※表の数値・評価は、当時公開されていた資料に基づくものです。現在の製品を同じ条件で比較したものではありません。

では、2026年のMPSはどうなっている?

ここからが、今回あらためて調べてみた部分です。

現在販売されているMPSの成分を確認してみると、2000年代から使われている消毒成分が、2026年現在も使われています。

たとえば、メニコンの「エピカ」は現在も塩酸ポリヘキサニド(PHMB)を主成分としています。

ロートCキューブ「ソフトワンモイストa」も、現在の公式情報では塩酸ポリヘキサニド 0.001mg/mLが有効成分です。

一方、アルコンの「オプティ・フリー プラス」はポリクォッド(ポリクォタニウム-1)を消毒成分として使用しています。

つまり、MPSの消毒成分には複数の系統がありますが、昔から使われている基本的な消毒成分が現在も現役です。

ここが、今回調べていて一番面白かったところです。

「進化していない」のではなく、変わった場所が違う

もちろん、コンタクト液がまったく進化していないわけではありません。

現在の製品では、消毒成分だけでなく、

  • 保湿成分
  • 界面活性剤
  • 洗浄成分
  • レンズ表面のうるおいを考えた成分
  • 装用感を考えた処方

などが組み合わされています。

たとえばオプティ・フリー プラスでは、ポリクォッドによる消毒に加えて、テトロニックやクエン酸による洗浄・保湿を特徴として説明しています。

つまり、

消毒の基本部分は大きく変わっていない。

その一方で、

洗浄・保湿・装用感などを含めた処方は改良されている。

という見方ができます。

比較結果から私が気になったのはエピカコールド

当時の比較資料では、エピカコールドは消毒性能と眼への負担のバランスが良い結果でした。

そして2026年現在のエピカを確認してみても、現在の主成分は塩酸ポリヘキサニドです。メニコン公式でも、所定の用法・用量とこすり洗いを含む使用方法が案内されています。

昔の比較で気になった製品が、現在も同じ基本的な消毒成分を使って販売されている。

この点は、コンタクト液を選ぶときに意外と知られていない部分ではないでしょうか。

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私が取り入れているもう一つのひと手間:装着前に軽くすすぐ

ここからは、私自身が取り入れている方法です。

MPSで消毒・保存したレンズをケースから取り出したあと、私は装着する前にコンタクトレンズ用の食塩水で軽くすすいでから装着しています。

やっていることは単純です。

  1. 消毒・保存したレンズをケースから取り出す
  2. コンタクトレンズ用の食塩水で軽くすすぐ
  3. 装着する

私にとっては、これが毎日のケアに加えているちょっとした裏技です。

ただし、これは消毒の代わりではありません。

また、使うのは水や自作の食塩水ではなく、コンタクトレンズのすすぎ用途として販売されている製品です。

私が使っているコンタクトレンズ用食塩水

健栄製薬には、0.9%塩化ナトリウム溶液の「コンタクトレンズ用食塩水」があり、ソフトコンタクトレンズのすすぎ液として案内されています。

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※これは私自身が取り入れている方法です。使用するケア用品については、コンタクトレンズや各製品の使用説明書を優先してください。刺激や異常を感じた場合は使用を中止し、眼科医に相談してください。

体験談:角膜感染症を経験して、ケアを調べるようになった

筆者は過去、コンタクトレンズの消毒が不十分な状態が続き、角膜感染症を経験しました。

その後、眼科を受診してから、コンタクトレンズのケアについてあらためて考えるようになりました。

それ以来、コンタクト液も「なんとなく選ぶ」のではなく、どのような消毒成分が使われ、どんな処方なのかまで調べるようになりました。

まとめ:コンタクト液は「変わっていない部分」が意外に多い

今回、2009年の国民生活センターの比較資料から始めて、2026年現在の製品まで調べてみました。

その結果、MPSの基本的な消毒システムや、主要な消毒成分の系統は、思っていたほど大きく変わっていないことが分かりました。

一方で、保湿、洗浄、界面活性剤などを含めた処方には改良があります。

つまり、コンタクト液を選ぶときは、

「新しい商品だから、消毒の仕組みも新しい」

と考えるより、

「何が変わって、何が変わっていないのか」

を見る方が面白いと思います。

私自身は、所定のMPSケアをしたうえで、装着前にコンタクトレンズ用食塩水ですすぐというひと手間も取り入れています。

コンタクトレンズの種類や目の状態によって適切なケア方法は異なるため、製品の使用説明書を確認し、必要に応じて眼科医へ相談してください。

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えむはら
根っからの便利技好きで、日々のライフハックをブログにまとめています。大手ニュースサイトでのライター活動を経て、2017年からブログ活動中。 業界最大手の人材紹介ウェブサイトの設立、運営実績アリ。キーボードカスタマイズ用のソフトウェア「enthumble」の開発者。 お仕事や取材の問い合わせは、「このサイトについて」の問い合わせフォームから。