社会人ドクター取得のリアルな現実と戦略

社会人ドクターにはテクニックが必要

私は大学院にて修士号を取得後、新卒でとある企業に入社し、現在も研究職として働いています。入社8年目からは社会人博士課程に通い、なんとか3年後に学位を取得しました。

同士もたくさんいましたが、半分は挫折しています。振り返ってみると、私が特別優秀だったわけではなく、ちょっとしたテクニックが明暗を分けたのかと思います。

博士号取得に関するブログ記事は数あれど、みなさん実名で書いているのか、お利口さんなのか、優等生的なものばかり。うまく逃げ切るためのテクニックはあまり書かれていないなぁと感じました。

ならば私が!ということでリアルな現実と戦略をまとめてみました。

それじゃ、いってみましょう。

社内でのテクニック

日頃から、上司や同僚へ学位を取りたいことをアピールしましょう。「本気で学位とりたいキャラ」になっておくこと。学位を既に取っている先輩がいたら、無理やりでも機会を作り話をきこう。

他社の方であっても話を聞いておく。社内で進学について説明するときに、同業他社は出張費や学費を援助したみたいですよーと交渉するネタになります。

社内事情は情勢次第です。ある時は「若手はぜひ博士号をとってほしいね」だったり、ある時は「会社は学校じゃねえんだよ(?)」だったり。これは部門長の好みの問題でもあるので、まるで振り子のように行ったり来たりします。タイミングを逃すと次のチャンスは十年後かもしれません。

博士課程とは実は入ったもの勝ちです。「若手はぜひ博士号をとってほしいね」のタイミングでうまく入学してしまいましょう。できたら、いつか博士号とりたいね、程度のひとはだいたいチャンスを逃しています。先輩を差し置いても、まずは入学許可をもらってしまうこと。ただし、なにかにつけて批判確認されるので、入学許可証は捨てないように。上司が変わるたびに、許可証を提出されることも。

研究室選びのテクニック

大学院、専攻、教員により取得難易度が大きく異なります。大学の格や学部の難易度とは全く関係ありません。まずは学位を取得させてくれる先生を探しましょう。先輩ヅラができて融通が利く母校が第一候補でしょうか。次が共同研究先など。

先生には、3年や2年で学位取得を考えていることを必ず伝えましょう。某京都方面は、5年で取るのがあたりまえ、という話もあるので避けましょう。

そして、審査対象としてカウントされる論文リストを調べること。研究室のプライドや自主規制もあるので論文の要件をキチンと調べておく。極端な話、インパクトファクター3.0以上でファーストオーサーが3報以上、といった専攻は避けましょう。インパクトファクター1.0で1報が要件ならありがたい。

某医学博士の課程では、学内の身内論文誌に1報掲載で良かったりします。更に凄いところだと、セカンドオーサーで1報あれば良いなんてところも。北関東の大学院には、投稿した論文がいくつかあればそれ博士論文へまとめて1年で学位をとれるというのもある(論文博士よりもラク?)。また某中部地方の専攻では、インパクトファクターが付いていなくても、査読制度だけついた論文誌あればOKということも。つまりインドの某速攻査読ジャーナルに投稿して数を稼ぐ手法も使えるそうです。ハゲタカジャーナルといわれて問題視されているので、オススメはしませんが。ちなみに、「rapid review journal 」などのキーワードで検索すると出てきます。もちろん、私は使ってないぞ!。

研究室のDuty、つまり義務を調べましょう。社会人なのに毎週研究室に来てゼミ参加ね!といわれても無理でしょう。ゼミ免除の研究室が狙い目です。社会人ドクターの受け入れ経験があれば、無茶な義務は発生しないはずですが。。毎週のゼミと宿題に追われ、その合間に研究をするというのは相当難しいです。

実験を手伝いってくれる学生やスタッフがいるのか確認する。論文を書いたらセカンド・オーサーになってもらうなど、いやらしい話をまとめておく。

入学試験の要件を調べる。要件として、社会人での研究歴何年というものもある。また社会人枠で入ったときの利点も調べる。まぁ大してメリットがないことが多い。

学費は自分で出すスタンスで臨む。会社や家族から支援があるかもしれないが、まずは期待しない。でも、大学院に通う旅費については会社と要相談。出張扱いにしてもらえるとありがたい。でも、もらえるものがあれば全部ありがたく貰う。支援者には博士号取得時にお礼すること!学位取得後に博士論文の冊子を渡すなどもアリ。(邪魔かも?)

研究テーマは、業務と無関係のものがよいかもしれない。社外秘や特許出願など制約がないため論文が出しやすい。

入学後のテクニック

晴れて大学院生となったあなた、浮かれてはいけません。早急に博士号取得の最低要件を満たしましょう

私は入学直後のガイダンスで、「今ここにいる学生のうち、半数は3年で学位を取得できません」、と喝を入れられました。そしてそれは現実でした。。博士課程に通っても、挫折、フェードアウトする方が多いんですね。原因はシンプルに論文が出ていないこと。

あなたの目標は世紀の大発見をすることでもなければ、有名ジャーナルに通すことではありません。学位を取得することです。私のオススメは、まずは一番通りやすいジャーナルに投稿すること。そのためには、小さな山でもいいから新しく作って、ヒョイと登ること。

論文は日本語で書いてから英訳しよう。よく巷で、英語で最初から書くのが良い!などと言われるが、まったくの無駄。英語が得意であっても、どうせ長文を書く機会なんて今後ない。日本語で下書きを書いたほうがロジックの抜けが分かりやすい。

自腹であっても、お金を払って英文チェックをかけよう。なんなら最初から日本語の論文を丸投げして英文にしてもらうほうがいい。社会人ドクターにとって最も重要な「時間」を買うことができます。オーバードクターになったら学費やらで数十万が吹っ飛ぶことを考えると安いものです。

論文は分割して通して数を増やすのも手。リバイスの指示にはマジ感謝、真摯に全項目対応する。でも査読の返事が遅かったら催促する。こっちは学位がかかっているんだからといえばすぐ査読が終わります。みんな締め切りまでほったらかしているんですね。

自分の例

入学前から実験をして、フライングダッシュを決める。が、データがしょぼすぎて査読が通らない通らない。課程3年になっても論文なし。

だんだん大学院に行く時間がなくなり機械が使えない!となり、さすがにまずいと思う。急遽おもちゃみたいな実験器具を自作し、新規性あるだろとアピールして論文を書く。誰でも作れる自作の機器だけど、マニアックなので新規性はありますよね。まぁ進歩性はないと思うけど。自ら問題を見つけて解決策を考える、という博士に必要なスキルってコレなのかと思いました。

「アイデアは苦し紛れの思いつき」という本田宗一郎の言葉に救われました。

その後は毎朝5時に起きて、喫茶店で論文を書いてから出社する生活が続く。結局、私はファースト2報、セカンド1報をもって博士論文を提出し、学位を授与されました。

専攻の最低要件は、ファーストオーサー英文1報でしたが、その条件すら満たしたのは同期30人のうち私ともうひとりだけ。評論家みたいにアカデミック界や大学院制度を批判していた方たちは、修了式には居ませんでした。居ませんでした。

大学院生としての利点

Amazon Prime Studentは、4年間有効なので、大学院に入学したらすぐに登録しよう。

また、当時の携帯電話の学割は、2年間有効でした。学生証を入手してすぐに加入、そして2年生の3月に更新処理をして、更に2年間延長できました。

以上

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